mushimegane books.の工房を訪ねて

mushimegane books.の工房を訪ねて

2012.12.03/ text: MAVUNO / photo: yumiasakura.com

mushimegane books.の器たち
外の景色

時間がゆっくりと流れるような穏やかな田園風景の中に陶磁器作家mushimegane books.(ムシメガネブックス)
の工房はあります。工房がある揖保郡太子町は兵庫県南西部の西播磨地域に位置する町。

mushimegane books.工房

彼女の器づくりの根底にあるのは、人と人との出会いや繋がり。
旅した土地の貝殻や砂。美味しかった島のご飯。そこで出会った人々の優しさや温かさ…
そういうもの全てが彼女の支えであり、器作りの源になっています。工房を構えるこの場所も元々は、木工店の作業場でした。
土を練って、土をひく。釉薬をつくる作業は真っ白粉まみれです。
一時は自宅で作業をしていたこともありましたが、到底、普通の人の生活が送れませんでした。
住まいとは違う場所に工房を構えたい。と考えていたところ、この場所に出会いました。
家主は隠居したおじいさん。
彼女の作業場の横には「なんでも好きに使ってえぇから。」と木工の道具がそのまま置いてあります。

窯や道具
島の砂

普段、彼女が使う柔らかな土は岐阜と九州の土屋さんに調合して貰います。
「こないだの土、ひき易かったか?」と話を聞いて、「だったら、今度はこうしてみぃ。」と気にかけてくれます。磁器の器をつくる場合は、磁土と、自分で調合した釉薬を水代わりにひいて作り出します。
土練りで空気を出して、質感や素材感を出すために、砂を混ぜ入れた後に硬さを調整。
カレーにいれる調味料のような感覚で、mushimegane books.特有の質感と色合いは生み出されます。
本来、陶芸は土と釉と炎の科学によって完成すると言われています。
mushimegane books.の特別な色や素材感は、彼女の少しの科学の心と経験・知識、
そしてそれ以上の好奇心が生み出す偶然の産物です。

貝殻
mushimegane books.の手

震災の起こった2011年春を機に、ペールトーンの明るい優しい色合いの器を作り始めました。
「明るいものを見たら、心も明るくなるでしょ。」陶芸家として活動する自分にとってできる世間へのささやかな労り。

窯の中、これから焼かれる器たち
窯の中、これから焼かれる器たち

mushimegane books.の器は一瞬一瞬の感覚やイメージを大切に制作しているので、それぞれ少しづつ表情が異なります。
嬉しい顔を見たら、嬉しい。器を作ることは、誰かと出会うこと。
飾らない、ありのままの彼女が作り出す器は、驚くほどにピュアでまさに彼女そのもの。

pyocotanのイラスト
作業台と大事な本
サンプル
サンプル
スケッチブックと図鑑
青い器

mushimegane books.のホームページにはこう記されています。

人と人、物と人、器を通じての出会いを大切に
ゆっくりと呼吸するように繋がって行けたらと思っています

日々の暮らしの中には様々な出会いの中たくさんの音が存在しています
もしも言葉が音符だったなら私たちは歌いながら生活しているように思います

暮らしにリズムを
毎日に彩りを

日々に感謝

窓際のみかんが入った器

まさに、mushimegane books.の工房は、彼女をとりまく周囲の優しさと、
作家自身の素直さに溢れたサンクチュアリのような場所でした。

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