Atelier elの工房を訪ねて

Atelier el アトリエエルの工房を訪ねて

2012.11.16 / text: MAVUNO / photo: yumiasakura.com

Atelier el アトリエエルの工房

2010年、神戸の古いマンションの一室でAtelier el(アトリエ エル)は始まりました。
elとは手を意味する言葉です。

Atelier el アトリエエルの工房
Atelier el アトリエエル 工房の天井

Atelier elは、素朴な道具と古い技法を使って地金から製品までを丁寧に形にします。
地金を叩き、火を入れ、削り、刻印を打つというような
多くの工程を手で行うことにこだわったモノづくりを行っています。それはAtelier elの二人にとって自分たちのブランド(MorgesLys ligne)を気に入って
身に着けてくれる人たちがいるのなら、そのできる限りの工程を自分たちの手で行いたいという思いからです。人の手から生み出される全てのものには、自然と温かみが宿り、どこか生の気配を感じさせます。
二人にとって、それは冷たく硬い金属も同様。

Atelier el アトリエエルの作業机
Atelier el アトリエエルの工房 手元

Atelier elが主立って使う素材として10金が挙げられます。
その背景としては、アンティークと呼ばれる古いジュエリーの多くが9金で作られていることに依ります。

Atelier el アトリエエルの工房 作品

毎回の彼らのコレクションではアンティークの什器や珊瑚、白樺の枝、紙といった
自然に朽ちた物たちを組み合わせて、幻想的な空間を作り出しています。
その世界観に魅了されて毎度足を運ぶ方も珍しくありません。
神秘的で儚い、美意識にあふれた世界。古いものに魅力を感じる二人にとって、少し赤みのある10金は、18金や24金のようにピカピカと派手な主張をせず、時代を経たものを大事にする自分たちにとって相応しい素材だと思っているからです。
特に荒さや回数を変えて磨くことで、10金の中でも温かみを感じるマットな仕上がりを表現しています。また、硬くて丈夫な金属は、大切にしていても時の流れの中で劣化してしまう衣服や書物と違い、50年経っても、100年経っても、300年経ってもメンテナンスさえしてあげれば生まれた当時の姿を現してくれる特別な存在でもあります。

atelier er ディスプレイ
Atelier el アトリエエルのアクセサリーディスプレイ

Atelier elのデザイン過程は、自己の中に生まれる漠然としたイメージを
なんとなくな形にすることから始まります。
まずは、机上で生まれた形を自身の頭の中にあるイメージに近い形に整えて、
徐々に洗練した製品に磨き上げていく。
綿密なデザイン画を描くよりは、手で考えて、イメージのソースとなる1点作り上げる。リングでも、ピアスでも何でもいいので、物から先に生み出して、そこからイメージを膨らましてストーリーを考える。
ストーリーができると、それを支える背景や事柄が生まれるので、
今度はそれを頼りにネックレスやブレスレットといったシリーズを増やしていく。
それはまるで、小説や音楽が生まれる瞬間のようです。

Atelier el アトリエエルの仕事場
Atelier el アトリエエルのブライダルリング

Lys ligneをデザインする増田さんは、ご実家が宝飾店を営んでいたこともあり
小さい頃から親しんでいたアクセサリーという道に進んだことはとっても自然なこと。
工業的なものはつまらない。冷たい金属をぬくもりのある温かく、
有機的なものにしたいと言う気持ちで臨んでいます。

Atelier el アトリエエルのアクセサリーディスプレイ
Atelier el アトリエエルの工房

アンティークや古いものを用いてディスプレイするのは、
自分たちの手で生まれたモノと並べた時に負けない存在感を出せるかどうかと言う指針の一つ。
長くに渡って誰かに大事にされて残ってきたものは良い品に決まっているから…
その威勢に負けないアイテムを作り出せるどうかが、今後、自分たちが生み出した物が次の世代のアンティークと呼ばれるような代物として残れるかというハードルでもあります。

Atelier el アトリエエル 岡本さん

いつの時代も新鮮で、古くても新しいと思えるような魅力のあるブランドになりたい。
先々では、後継者を作って細く長く、ヨーロッパの街角にあるような長きに渡ってメンテナンスを行える
ブランドを目指したいと話すのは、Morgesを手掛ける岡本さん。
物づくりも大切だけど、その世界観も大事。古い物と、Atelier elという新しい物。
展示会では同じように楽しんで貰えるのが、一番嬉しい。
彼らの作るものが、手にして下さった方にとって特別であり、
その方の日常に溶け込んで永く身に着ける物になればいいな…という祈りのような願いを込めて、
今日も神戸のアトリエからは地金を叩く音が聴こえてきます。

Atelier el アトリエエルのアクセサリーはこちら
MorgesLys ligne

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